はじめに
ここでは、マット運動の指導案作成に役立つ内容をまとめていきます。
・マット運動指導案②〜教材を使った指導〜
も合わせて御覧ください。
マット運動の特性と生徒が持つ苦手意識に関して
マット運動は回転したり逆さまになるなど非日常的ないろいろな動きを体験できる運動です。
いろいろな技があり、それを円滑に組み合わせることによって達成感や自己効力感をを味わうことができます。また、基本的な技がないとそれぞれの技を発展することができないため、技の系統性を指導することで後の発展に繋がります。
多様な運動感覚を養えることから、児童の身体操作能力の育成が期待できる種目ですが、その反面、非日常的な動きが苦手であったり基本的な技ができないといつまでたってもできないことから挑戦意欲を失い、運動嫌いになる可能性を持っている運動とも言えます。
ある小学校で体育授業の事前アンケートアンケートを取ったところ、マット運動に対して「とても好き8名」「好き11名」「あまり好きでない5名」「好きではない5名」という結果になりました。
肯定的な意見は「非日常的な動きが楽しい、できるようになる」
否定的な意見は「難しい、怖い」が主でした。
以上の特徴があるため、運動ができないという理由で評価しない場合、マットに対して苦手意識や嫌悪感が出てしまいます。
そのため、評価基準を「運動への関心・意欲・態度」「運動についての思考・判断」「運動の基準」の3つに分けて評価をすることで、できない児童が自分にあった行動をすることができます。
以下それぞれの評価基準を詳しく記載いたします。
①「運動への関心・意欲・態度」
まず、マット運動に友達と励ましあって進んで取り組んでいるかに注目してください。
挑戦することで誰でも学習によって技能や体力が向上する可能性があるといったことを、友達と協力することによってその意義を理解させることが必要です。
また、友達と協力をし器械・器具の準備片付けをし、自己の役割を果たせているのかも大事です。これは分担した役割を行う際に、仲間と話し合って連帯感を高めて気持ちよく作業ができるかということに繋がります。
運動ができない児童はここで自分のできることをするという意欲を出させることもできます。そして運動する場や器械・器具などの安全を確かめているかを評価することで、危機管理能力を育成することもできます。
②「運動についての思考・判断」
ここでは、基本的な技の動き方や技のポイントを知った上で、自分の力にあった課題を選んでいるかを見てください。
これは児童の課題の原因に気づくための資料を提示することによって技のポイントと自分の運動の差を見つけさせることが可能です。もし基本ができていなければ、基本運動のポイントを提示すべきです。
その上で仲間同士で指導し合う場を作ることによって仲間との連帯意識を育成することができます。注意すべき点は、児童の中で優劣をつけてしまうと劣等感を感じたり、いじめなどにもつながる可能性があります。必ずポイントを的確に指導することが必要です。
③「運動の基準」
基本技である前転・後転ができるか、また発展技では大きな前転・終末局面で腰の位置が高い後転・体の芯が垂直な倒立ができるかが基準になります。他にも開脚前転・開脚後転・壁倒立も評価の基準になります。
運動できない児童にとってマットに対する関心や意欲を出させるために最も必要なことは教師と仲間からの評価です。運動能力の底上げができる運動だからこそ、マットに対する苦手意識を取り除けば他の運動や競技の力に直結します。
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