1、はじめに
小学校、中学校、それぞれの現場で「ダンス」という授業が取り入れられてきましたが、高等学校となると 「即興的に表現する」ことが求められます。
子ども達は中学高校を経てダンスの経験があるかもしれませんが、新任の先生となるとどのように指導してよいか分からないことも。
今回はダンス未経験の先生から、指導に躓いている先生に向けた「生徒たちと一緒に表現を磨いていける授業」についてレクチャーしたいと思います。
この記事を丸々授業に取り込めるくらいボリューミーな記事となっておりますので、こうご期待!
【この記事が役に立つ先生たち】
・1から創作ダンスの指導を学びたい先生
・ダンスに興味のない生徒に興味漬けする方法に悩んでる先生
・チームでやることに苦手意識を持つ子へのアプローチを探っている先生
・ダンスが全く出来ない子がいるクラスでもやっていける方法を知りたい先生
気になる方はこのまま読み進めてみて下さい!
2、そもそも高校体育における創作ダンスの意義とは?
高等学校の学習指導要領にはこのように書かれています。
「創作ダンスでは,表したいテーマにふさわしいイメージをとらえ,個や群で,対極の動きや空間の使い方で変化を付けて即興的に表現したり,イメージを強調した作品にまとめたりして踊ること。」
(http://www.mext.go.jp/)
小学校中学校で基本的なステップを経て迎える、高校体育のダンスの授業では、
・動きや空間の使い方に変化を付けること
・思いつくままにとらえたイメージをすぐに動きに変えること
などの取り組みが重要です。
とは言っても、表現するにはどのような取り組みが良いのかは分かりませんよね。日常生活でもそうですが、自分から表現を出すためには「授業中コミュニケーションが多くある状態」を作ることが必要です。次の章では動きを学びながら、生徒同士が仲良くできる和やかな雰囲気を作る方法を授業にそのまま取り込めるようにレクチャーしていきたいと思います。
3、創作のタネになる「音楽の共有」をする
初心者に創作ダンスをしろ、というのは酷なこと。ましてや良くわからないものを生徒同士でやるなんて、授業としては結構たいへんかと思います。そこで、まずはダンスを通して生徒同士が仲良くなれるよう、音楽の共有を行い互いの共通点を見つける時間を作ります。
①各自好きな音楽を1人1曲用意し1分プレゼン
・1分曲を流しながらクラスに紹介する時間を作る
・JPOP、KPOP、海外、クラッシック何でもOK
【目的】授業の雰囲気作りの第一歩です。普段一緒につるまない友達でも好きな音楽をきっかけに仲良くなることもあります。またプレゼンは自己表現の第一歩とも言えます。
②チーム作り
各自プレゼンが終わったら、チームづくりです。自分たちで作るもOK。うまくまとまらない場合は生徒たちの選曲を見ながら先生が決めてあげましょう。
4、創作のネタになる「ステップ」の時間
ダンスを作ると言っても初心者にいきなりは難しいので、ダンスの基礎になるステップやリズムに乗ることをレクチャーします。
①ウォームアップでステップを学ぶ
簡単なステップを使った動画はYou Tubeにたくさんありますので参考にしましょう。通常の準備運動よりも体が温まりやすいかと思います。
【参考】EXダンス体操
②10秒間「ものまね」遊び
物や人になりきる「ものまね」遊びを行います。
先生がお題を出し、生徒が10秒間真似るという遊びを行います。先生が「雑巾!」と言ったら、生徒は10秒間ぞうきんのものまねをする、というものです。テンポよく行うことで生徒もダラダラせず、面白おかしく授業を進めることが出来ます!「おじいちゃん」「赤ちゃん」「ぞうさん」など連想しやすい人でもいいですし、時折、学校の先生や芸能人の名前を出すのも楽しい時間を過ごすきっかけになるかと思います。
5、空間を使う「移動表現」の時間
創作ダンスをチームで行う場合、空間をうまく使う踊りができれば評価もつけやすいですね。基本的なやり方をレクチャーし、プリントして渡しましょう。自生徒たちも分たちで作る時間のときの参考になります。
・チームになって大きくなる小さくなる
・横1列になる、縦1列になる
・V字、逆V字、+など
6、チームでダンスづくり開始!
いよいよ自分たちで創作する時間です。
これまでの授業で行った「ステップ」「移動表現(隊形移動)」用いて自分たちの選んだ曲で振り付けをしていきます。
①チームで1曲を決めダンスのテーマとリーダーを決める
②初めてダンスを作るチームは、前授業でやったステップをつなぎ合わせた踊りを作る
③その時に必要なポイントや困っている子に対しての言葉がけ
上記3点をポイントとし、授業を進めてみましょう!
7、ダンス中間発表会
生徒たちの創作進捗を先生/生徒が各々確認し、お互いのダンスを見て学びを得る時間を作ります。
【先生が見るポイント】
ついついダンスの技術に目が行きがちですが、もともとのダンスの力量だけでなくチームをうまくまとめるため目配せをしているか、アイコンタクトでコミュニケーションを取ろうとしているか、テーマを伝えられる構成を取れているか、なども評価してあげましょう。
【生徒にもコメントを書かせる】
自分たちの創作がどのような点で秀でているかは他人が見ないとわかりません。面と向かって「ここがいいね!」というのも良いですが、今日は紙に書いて提出するシンプルなやり方をご紹します。
①仮にチームが6チーム有るとするならば、1チームに5枚紙を配り、1チーム発表ごとにリーダーを中心としてコメント書きます。(例:もっとこうしたらいい、〇〇が良いと思ったなど)
②授業後各チームのリーダーに、他のチームからもらった紙を渡し次回からの創作に活かす。
8、リーダー同士で意見交換会
リーダーに選出される子は、よく踊れる子やもしくは流れでリーダーにさせられてしまった子かと思います。どちらにせよ、意見差なくてはいけないポジションに選ばれているので、各チームで悩んでることを開示し、こうすればいいのでは?という意見交換会を開きましょう。ただし、コミュニケーションを越しておしゃべりの時間にしてはならないので、時間を15分などしっかり計り、先生がファシリテーターとして入るようにしましょう。
リーダー以外の人たちは創作の練習時間とします。
9、練習期間に教員が見るところ
・表したいテーマにふさわしいイメージについて話しあえているか
・個や群で,対極の動きや空間の使い方ができているか
・練習中、演技にミスが有っても即興的に表現を行えているか
・イメージを強調した作品となっているか
・個人の技術面
・意見を出そうと努力しているか
10、本番の発表会
いよいよ本番です。発表するチームの順番を決め、これから発表するチームの次に発表するチームが音掛けを行えるようにします。発表中はチームで会議などはやめ、静かに観覧できるようにしましょう。
・なぜこの音楽にしたのか、テーマはなにか、リーダーに話しをさせる
・中間発表同様、生徒にコメントを書かせる
└生徒個人を評価しやすいよう、最後のシートはチームで1枚ではなく、個人で1枚とします。
11、まとめ
学習指導要領「創作ダンスでは,表したいテーマにふさわしいイメージをとらえ,個や群で,対極の動きや空間の使い方で変化を付けて即興的に表現したり,イメージを強調した作品にまとめたりして踊ること。」に沿った創作ダンスの授業内容をまとめてみました。最後に箇条書きでまとめてみたいと思います。
・各自好きな音楽を1人1曲用意し1分プレゼン
・チーム作り
・ウォームアップでステップを学ぶ
・10秒間「ものまね」遊び
・空間を使う「移動表現」の時間
・チームでダンスづくり開始!
・ダンス中間発表会
・リーダー同士で意見交換会
・本番の発表会
ぜひ、1から創作ダンスの授業を行う先生方は参考にしてみて下さい! ダンスは楽しくが一番です!!
【関連記事】
よく分かるフォークダンス指導方法
コメント