はじめに
学生たちにとって明確な得点性や戦術性がないスポーツは対決の楽しみがなく、あまり興味がそそられないかもしれません。器械運動(マット・鉄棒・平均台・跳び箱)はこの類に属するものです。しかしシンプルなルールの中で自分自身の身体能力と対峙する器械運動には確たる魅力があります。今回はこの魅力を示しやすい授業導入部として、中学実習生にも使えるマット運動の方法をお話致しましょう。
前転系
前転系のマット運動には「前転」「開脚前転」「伸膝前転」「跳び前転」の技があります。これらの導入部において最初に行うのは「ゆりかご」の練習です。これは肩・背・腰の順でゆっくりと滑らかに転がる動作練習となります。あごを引いて背中を丸める事を意識します。ゆりかごに少し負荷(勢い)を掛けると前転となり、回転後に開脚をすると開脚前転になります。膝を伸ばしてゆりかごに移行すれば伸膝前転です。跳び前転は先述の技術の総合技になります。
後転系等
後転系のマット運動には「後転」「開脚後転」「伸膝後転」、倒立系には「倒立」「倒立前転」「後転倒立」「側方倒立回転」「前方倒立回転跳び」といった技があります。後転は先ほどの前転のベクトルが後ろに働いたもので、そちらも「ゆりかご形」の基本を適用できます。倒立系の技は最初の段階で倒立そのものが苦手だという学生が多くいますから、補助者が足を押さえるような状態からスタートすると良いでしょう。また「側転」の場合はラストの動作が重要です。起き上がるとき、腕で足を強く引きつける事を意識しましょう。
動画とワークシート
これらのマット運動導入部において積極的に活用したいのがタブレット・パソコンを使った参考動画です。自分のフォームを客観的に確認しつつ理想形との相違点をチェックする事が円滑な学習効果を促します。この作業の反復によって技の上達を実感できれば器械運動達成の楽しみを味わう事ができるでしょう。タブレット導入が指導者や学校側の環境により難しい場合はワークシートを活用します。そのほかどういう道具を使っても構いません。「学生が自分の運動後、随時自分の形と理想系をチェックできる」という状況を整備する事が重要です。
まとめ
以上が中学実習生にも使えるマット運動導入のお話でした。基本形と基本練習を確実に行い、フィードバックを有効活用しながら学生への指導を行いましょう。
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