はじめに
学習指導要領の中にも組み込まれている、フォークダンス。音楽は聞いたことあるけど、その歴史や指導法はイマイチピンとこない方も多いのでは?今日はそんな方に向けた記事を書いていきたいと思います。
フォークダンスのルーツとは?
よく耳にする「フォークダンス」ですが、これらは民俗舞踊のことを指しており、狩りの収穫を祝って踊ることがルーツといわれています。日本には、第二次大戦後の長崎に教育担当官として駐在した米国人、ウインフィールド・P・ニブロ氏の活動がきっかけとなり、昭和20年代に全国に普及したのが始まりです。学校の運動会が神社や寺の境内で主催されていた時代に行っていた盆踊りがルーツという説もあります。
昭和31年に設立した「日本フォークダンス連盟」は、現在全国都道府県に合計49の支部が設けられており、各支部に所属する会員は合わせて約10万人ほどの大きな組織になりました。5種目のダンス(※)の普及に加え、学校教育での指導サポートや高齢者の方々に楽しんでいただくレクリエーションの手伝いなど、幅広く活動しています。
(※)フォークダンス・日本民踊・スクエアダンス・ラウンドダンス・レクリエーションダンスの5種類のこと
フォークダンスで一番大事なこと
フォークダンスのメリットは、
・シンプルなステップで一体感を感じられる。
・手と手を取りあうことで友情が生まれる。
・言葉や文化、年齢の違いを超えて、みんなでひとつになれる
などがあります。同じダンスでも、互いに手を取り合い、顔を向け合って行うフォークダンスは、リズムを通じてコミュニケーションがとりやすくなる種目とも言えます。特に、思春期に入る子ども達は同じグループで固まってしまう可能性が高く、授業を通して普段話せないクラスメイトとのコミュニケーションを取るきっかけにもなります。自然と仲間意識を持たせることが期待できるので、恥ずかしがらずに取り組ませることが最も重要になります。
指導方法
【動画を見せる】
普段なかなかしないような動きやステップをするので、まずは生徒たちに大枠を把握してもらう必要があります。実際に先生同士でやっているのを見せるのも良いですが、授業を進める先生が単身の場合は動画に頼りましょう。音楽を覚えるきっかけにもなります。
▼最もポピュラーとも言える「コロブチカ」
「コロブチカ」は、TVゲーム「テトリス」のBGMとしてすっかりお馴染みとなったロシア民謡ですね。このような小ネタを入れてあげるのも、授業がもりあがるきっかけになります。
(https://youtu.be/LhQv6S1OJpI?t=3m19s)
【踊りの説明は言葉を付けを】
フォークダンスを楽しむためには、まず踊りを覚える必要があります。普段ダンスをしない生徒にとっては、ダンスを覚えること自体が難しい可能性が高いので、楽しく覚えやすい授業をすることが重要です。
例えば、上記のコロブチカの場合ですが、音楽に合わせ「右に回って♪、左に回って♪、手を取り合ってま〜わ〜る〜♪」など、踊りながら次の動作を口頭で伝えてあげると、覚えやすくなります。脳の運動野は、体を動かし実際に筋肉が動くと、この刺激が脳に戻ってくるという回路があるため、体を動かしながらの方が覚えが良いとも言われているからです。これを先生がいうだけでなく、子ども達も口走りながら行うとより暗記しやすい環境を作れます。
【明るい反復練習】
大枠のダンスが把握できたら、あとは反復練習です。何度も音楽をかけ、かならず水分補給を行って授業を進めましょう。
全国のすごいフォークダンス
▼メキシコ民族舞踊団アウィスラ
普段あまり聞かないような音楽や踊りなのでとても新鮮ですね。民舞踊ということもあり、衣装もたいへんお洒落です。
(https://www.youtube.com/watch?v=zNhADb3wpG4)
▼「ポロネーズ ウロチスティ」
日本フォークダンス連盟よりお借りしました。大人数で迫力がありますね。
(https://youtu.be/hLsjk-1UBKE?t=1m4s)
さいごに
「ダンス」が中学校の学習指導要領で必須となり、これまで球技や水泳、マット運動などが中心だった体育教科の指導も経験がないと難しくなってきたように感じます。しかしフォークダンスは、HIPHOPや創作ダンスに比べると、基本ルールもあり、ステップやリズム取りが簡単なので生徒にとっても取り組みやすいもの。先生も生徒もダンス1年生(初心者)と考えれば、どのような点で躓くかも予想が付きやすいです。どのようにすれば子どもたちに伝わるかは、ダンス初心者の先生ほど理解がしやすいかもしれませんね。
はじめにお伝えした「日本フォークダンス連盟」では、フォークダンス指導専用の資料も販売していますので、授業の教材として使ってみてもいいかもしれませんね。
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