はじめに
「武道」は「ダンス」と共に2008年の中学校指導要領改訂から教育に導入された課目です。その武道の中にある「剣道」は日本の剣術戦を競技化した独自性のあるスポーツであり、高い戦術性に特徴があります。歴史的には江戸時代中期まで遡り、広く普及をしたのは明治時代に入ってからでした。今回はこの剣道について、授業導入部で行うべき幾つかのポイントをご紹介致しましょう。
剣道の本質
剣道指導の導入時に行うべき最初のステップは解説です。剣道に触れた事のない学生は「とにかく竹刀を振って相手に切り込む戦闘的競技」という「動」のイメージが先行しているかもしれませんが、実際には礼儀と規約によって制約された「静」の要素が大きい競技です。冒頭で述べた通り「相手がこう出たら自分はこう返す」「相手がこのような状態なら自分はこう出る」といったチェスのような戦略的要素も強く、プレイヤーには技能だけではなく分析力や思考力が要求されます。こうした剣道という競技が持つ特性を十分に学生側へ提示する事で、各人はようやく自分たちがどのような剣道に関わり、どういう方向性を目指すべきなのかを認識します。
装備の解説
剣道は多くの装備を必要とする競技です。基本的な剣道装備としては「面(顔面を防護するマスク)」「面手拭い(面の内側に装着する手拭い)」「胴(胴体を防護するプロテクター)」「小手(手首を防護するプロテクター)」「垂(腰回りを防護するプロテクター)」「竹刀」「竹刀鍔(竹刀の持ち手先につける滑り止め)」「剣道着」「袴」といったものが存在します。それらの装備の装着方法や手入れの仕方を適切に把握していなければ、安全面に大きなリスクが伴います。安全に授業展開を行う為、これらの基本的な装備の解説は確実に行なっておきましょう。
礼儀と構え
上記の理論面を展開した後、徐々に実践的な技能の会得へとシフトします。剣道の最初に身につけねばならない技能は「礼儀作法」と「構え(及び足さばき)」です。礼儀作法については一定の形式がありますが、可能な限りその礼儀形式の本質である「克己(自らを乗り越え、他人に敬意を払う精神)」を表現するよう提示をしておきましょう。構えは「自然体」「中段の構え」「間合いの取り方」といった具合に徐々に負荷を掛ける形で会得を促します。構えの地盤が固まったら、次のステップとして足さばき(歩み足、送り足、開き足、継ぎ足、踏み込み足)の指導を展開しましょう。
まとめ
以上が剣道授業の導入部に関する話でした。理論面の充実から徐々に実践へ移行する事で、安全で確実な剣道競技を行いましょう。
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